同じ腰の痛みを主な症状とする脊椎すべり症とぎっくり腰ですが、これらは混同されがちな関係にあります。実はこの2つの疾患は確かに別の病気ではありますが、症状が起こるメカニズムとしては同じなのです。その判断をする大きな違いは痛みに鍵があります。
脊椎すべり症は一般的に腰の痛みはありますが比較的鈍いものが多く、初期の症状だと違和感があるといったレベルのものとなっています。それに対しぎっくり腰とはあなたもご存知のように突然激しい腰痛が発生します。いわゆる電気が走るような激痛と言われる痛みです。このように痛みの感じ方に違いがありますが、もう少し詳しく言及します。
脊椎すべり症とは、腰椎部分にある椎体が前方へとずれてしまい、それが戻らなくなってしまった状態を言います。多くの場合が進行性なので腰に違和感や鈍痛が出ますが、中々この病気だと気付かずに放置されがちです。そのため徐々に進行し、悪化すると脊柱管狭窄症などを合併症として発症し、腰や下肢に痛みやしびれ、歩行障害などに繋がります。
それに対しぎっくり腰とは急性腰痛症と言う名にも示されるように、生活やスポーツの中でのある動作が引き金となり突然腰に激しい痛みが生じるものを指します。脊椎すべり症が慢性的な症状になって行くのに対し、ぎっくり腰では痛みは1カ月もたたずに治まることが多くなっています。ぎっくり腰については安静にするのが一番の治療法です。
このように腰椎がずれるという機構で発生する2つの病気は、医師の診断を受けても脊椎すべり症と診断される場合もあれば、ぎっくり腰とされる場合もあります。どちらの病気でも共通して腰椎がずれるわけですから、決して医師が間違っているわけではありません。ただし、どちらにしても治療は医師の判断に委ねるのが最善ですので安心しましょう。